不動産投資ローン、残高最高28兆円

2025年02月04日

不動産投資ローン、残高最高28兆円

タワマン
近年、銀行の個人向け不動産投資ローンが急速に拡大しています。
2024年9月末時点でのローン残高は28兆3千億円と、過去最高を更新しました。
これは、従来の相続対策目的の利用に加え、転売益を狙って分譲マンションを購入する
個人投資家が増加していることが背景にあります。

不動産投資ローンの拡大要因
日銀の統計によると、銀行が「個人による貸家業」に新規融資した金額は
2024年4〜9月期で1兆7千億円に達し、前年同期比22%増と大幅に拡大しました。
これにより、2024年6月末にはローン残高が28兆2千億円に達し、9月末にはさらに1千億円増加しました。
銀行にとって不動産投資ローンは、一般の住宅ローンよりも高い利ざやが見込める点が魅力です。
日銀が2024年3月以降、3度にわたり利上げを行ったものの、
住宅ローンの変動金利は1%以下の水準が続いています。
一方で、不動産投資ローンの金利は約2%と高く、融資額も大きいため、
銀行にとっては収益源として重要な位置を占めています。

ネット銀行の参入と競争の激化
不動産投資ローン市場の拡大を受け、ネット銀行の新規参入が相次いでいます。
大和ネクスト銀行は2024年10月に、UI銀行は同年12月に参入し、
住信SBIネット銀行も2023年から東京23区を中心にローン提供を開始しました。
ネット銀行は、独自の融資戦略を打ち出し、これまで地方銀行が中心だった市場で
シェアを拡大しようとしています。
大和ネクスト銀行は3億円以上の融資に特化し、富裕層向けの事業拡大を狙っています。
また、ネット銀行の利便性を活かし、審査の迅速化や金利の柔軟な設定を強みとしています。

投資用不動産市場の影響とリスク
タワーマンション価格の高騰により、投資目的のマンション購入が増加しています。
「晴海フラッグ」(東京・中央)などの大規模開発が注目を集め、
転売益を見込んだ分譲マンションの購入が活発になっています。
2024年1〜10月に東京・大阪で築1年以内に売りに出された物件数は、
10年前の3倍を超えており、短期売買を狙う投資家が急増していることが分かります。
しかし、日銀の利上げが今後も続けば、不動産価格が下落するリスクも考えられます。
銀行側も融資のリスクを考慮し始めており、一部のネット銀行では貸出実行額を抑える動きも見られます。
今後、不動産投資ローン市場は、積極的に融資を拡大する銀行と慎重な姿勢を取る銀行とで
二極化が進む可能性があります。

不動産投資ローン市場は、金利の低さと不動産価格の上昇を背景に拡大を続けていますが、
今後の市場環境の変化によっては、投資家や銀行にとってリスクが高まる可能性もあります。
不動産投資を検討している方は、市場動向を注視しながら慎重な判断が求められるでしょう。
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