所在不明区分所有者の除外や管理不全対応について

2026年01月22日

所在不明区分所有者の除外や管理不全対応について

マンション

所在不明区分所有者の除外や管理不全対応は「裁判所関与」が原則

区分所有建物(マンション等)では、
「所在不明の区分所有者がいる」「管理組合が機能していない」
といった問題が、実務上しばしば発生します。

その際に誤解されやすいのが、

総会で決めれば何とかなるのでは?
連絡が取れない人は除外して進めてよいのでは?

という点です。

結論から言うと、
所在不明区分所有者の除外や、管理不全状態の是正は、原則として裁判所の関与が必要です。


所在不明区分所有者の問題とは

以下のようなケースが典型です。

  • 区分所有者と連絡が取れない
  • 相続未了で名義が止まっている
  • 住所不明・長期不在
  • 生死不明、または海外在住で意思確認ができない

このような区分所有者がいる場合、
建替え、敷地売却、大規模修繕などの重要な決議に参加できません。


なぜ「裁判所関与」が必要なのか

区分所有法では、
区分所有者の権利は、私的な話し合いだけで制限・排除できない
という考え方が取られています。

そのため、

  • 所在不明者を「みなし除外」する
  • 意思表示がないまま決議を進める

といった対応は、
後から決議無効や取引トラブルにつながるリスクが非常に高くなります。

そこで必要になるのが、

  • 不在者財産管理人の選任
  • 特別代理人の選任
  • 裁判所の許可を得た手続き

といった裁判所を介した法的整理です。


管理不全建物への対応も同様

管理組合が実質的に機能していない場合も注意が必要です。

裁判所関与が必要になるケース

  • 管理組合が存在しない、または形骸化している
  • 総会が成立しない
  • 修繕や安全確保ができない
  • 他の区分所有者や近隣に重大な影響が出ている

このような場合は、
管理者選任の申立てなど、裁判所の関与による是正が求められます。


裁判所関与が不要なケースもある

一方で、すべてが裁判所対応になるわけではありません。

  • 管理規約に基づく通常管理
  • 軽微な修繕
  • 出席者・議決権が足りている通常の総会決議

など、
所在不明者の権利に影響を与えない範囲であれば、
裁判所関与なしで対応可能な場合もあります。


実務で特に注意すべきポイント

「連絡が取れないから除外して進めた」
「総会で承認されたから大丈夫」

これらは、
売買・融資・評価の段階で問題化しやすい典型例です。

金融機関や買主は、

  • 決議の有効性
  • 将来の紛争リスク
    を非常に厳しく見ます。

まとめ

  • 所在不明区分所有者の除外や権利制限は、原則として裁判所関与が必要
  • 管理不全建物の是正も、内容次第で裁判所の関与が不可欠
  • 私的自治だけで進めると、後から大きなリスクになる

区分所有建物の取引や管理では、
「進められるか」より
「後から否定されないか」
を基準に判断することが重要です。


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