日銀、0.5%に利上げ—17年ぶりの水準に

2025年01月27日

日銀、0.5%に利上げ—17年ぶりの水準に

日本銀行は1月24日、金融政策決定会合を開き、政策金利(無担保コール翌日物レート)を
0.25%から0.5%に引き上げることを決定しました。
この新しい金利は1月27日から適用され、政策金利が0.5%になるのは
2007年2月から2008年10月以来、約17年ぶりとなります

利上げは昨年3月のマイナス金利解除以降で3回目。
政策金利が0.5%を超えたのは1995年9月以来なく、
今回の決定は過去30年間で最も高い水準を意味します。

植田総裁「利上げペース、予断持たず判断」

植田和男総裁は会合後の記者会見で、今後の利上げ方針について
「ペースやタイミングは経済・金融情勢次第で予断は持っていない」と述べ、
柔軟な対応を取る姿勢を強調しました。
また、今回の利上げ理由として、昨年に続くしっかりとした賃上げの見通しを挙げ、
「トランプ米大統領が就任した後も金融資本市場は全体として落ち着いている」と指摘しました。

円安と物価見通しの上方修正

日銀は2024年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の上昇率見通しを、
前年同期比2.7%とし、昨年10月時点の2.5%から上方修正しました。
さらに2025年度は2.4%、2026年度は2.0%と、それぞれ0.5ポイント、0.1ポイント引き上げています。

円安が背景にあることも説明されており、植田総裁は「円安に伴う輸入物価の上振れが要因の一つ」
と述べました。
また、「為替変動が物価に及ぼす影響が過去よりも大きくなっている」との見解を示し、
金融緩和度合いを調整することで、2%の物価安定目標を持続的に達成する意向を明らかにしました。

緩和的な環境維持と今後の利上げ見通し

今回の利上げを経ても、依然として緩和的な金融環境が続いているという認識を日銀は示しています。
植田総裁は「経済・物価の見通しが実現する確度が高まれば、
引き続き金利を引き上げる方針に変わりはない」と強調しました。

一方で、利上げペースについては急速な引き上げを否定
内部には「半年に1回程度のペースでは」との声があり、
植田総裁も「その時点で利用可能なデータや情報を基に適切に政策を判断する」と語り、
柔軟かつ慎重なアプローチを示唆しています。

経済・金融への影響

政策金利の0.5%への引き上げは、日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
金利上昇は個人や企業の資金調達コストを押し上げる可能性があり、
特に住宅ローンや中小企業の運営資金に影響が出ると予想されます。
一方で、円高に繋がる可能性もあり、輸入物価の低下によるインフレ抑制効果が期待されます。

今後も日銀の金融政策の動向は国内外から注目を集めるでしょう。
経済情勢や市場環境に敏感に対応しつつ、
持続的な物価安定と経済成長を両立させるための舵取りが求められています。
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