2025年建築基準法改正:4号特例の見直しとその影響

2025年03月13日

2025年建築基準法改正:4号特例の見直しとその影響

建築

20254月に施行予定の建築基準法改正により、「4号特例」が大きく見直され、建築確認手続きに関する重要な変更が行われます。この改正は、省エネルギー基準の適合義務化に伴い、木造戸建て住宅の建築プロセスに大きな影響を与えるものです。


1. 4号特例の見直し:3つのポイント

「建築確認・検査」「審査省略制度」の対象範囲の変更

【改正前】

4号建築物(建築基準法第6条第1項第4号に該当)

  • 木造2階建て
  • 木造平屋建て等
  • 都市計画区域等内で建築する場合は建築確認・検査が必要
  • 審査省略制度(4号特例)の対象

【改正後】

2号建築物(建築基準法第6条第1項第2号に該当)

  • 木造2階建て
  • 木造平屋建て(延べ面積200㎡超)
  • すべての地域で建築確認・検査が必要
  • 審査省略制度の対象外

3号建築物(建築基準法第6条第1項第3号に該当)

  • 木造平屋建て(延べ面積200㎡以下)
  • 都市計画区域等内に建築する際に建築確認・検査が必要
  • 審査省略制度の対象

この改正により、従来よりも審査が厳格化されるため、確認申請の手間が増えることが予想されます。

確認申請の際に構造・省エネ関連の図書が必要に

【改正前】

4号建築物:確認申請書・図書(一部省略可能)

【改正後】

  • 2号建築物:確認申請書・図書+構造関係規定の図書省エネ関連の図書(新たに提出が必要)
  • 3号建築物:確認申請書・図書(現行と同様に一部図書省略可)

これにより、建築士は構造計算書や省エネ関連の資料作成が義務化され、提出書類の増加が避けられません。

施行予定は20254

本改正は20254月に施行予定であり、それまでに各関係者が新基準に対応する必要があります。


2. 改正による影響と懸念点

この法改正により、以下のような問題が発生する可能性があります。

建築確認申請に関する影響

  • 構造計算書の作成費用の増加
  • 行政審査に要する時間の延長
  • 省エネ基準適合のための建材コストの増加
  • 図面の整合性を求められ、書類作成の手間と時間が増える

工期や費用への影響

  • 施工期間が長期化し、従来の工期設定では工程が厳しくなる
  • 思わぬミスやトラブルの発生リスクが高まる

リフォーム・DIYへの影響

  • 既存不適格建築物のリフォーム:建築基準法に適合していない建物の改修は、不適合部分の是正が必須
  • DIYへの影響:不燃クロスなどの適合材料を使用する必要があり、材料選びが制約される

3. 施行に向けた対応策

20254月の施行に向け、設計者や建築主は以下の対策を講じることが重要です。

設計者・建築士の対応

  • 構造計算や省エネ設計に関する知識の強化
  • 提出書類の準備期間を確保し、スムーズな申請手続きを実施

建築主の対応

  • 施工計画を見直し、余裕を持ったスケジュールを設定
  • 省エネ基準に適合する住宅設計を検討
  • コスト増加を見越した資金計画の見直し

住宅購入希望者・リフォーム希望者の対応

  • 新築計画を進める場合は、20254月前に手続きを済ませる
  • リフォーム時の法適合を考慮し、専門家に相談する
  • DIYを行う場合も適合材料を選定し、違反にならないよう注意する

20254月の建築基準法改正により、4号特例の範囲が縮小され、建築確認手続きが大幅に変更されます。特に、建築確認・検査の厳格化、省エネ基準適合義務化、提出書類の増加などが影響を与えます。工期や費用の増加が懸念されるため、建築関係者や建築主は早めの対応が求められます。
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