
日本における空き家問題は年々深刻化しており、政府もその対策を強化しています。
特に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空家法)と「低未利用土地の利活用促進に向けた長期譲渡所得の100万円控除制度」(以下、低未利用地の特別控除)は、
こうした課題解決のために導入された重要な施策です。
このブログでは、それぞれの施行状況と利用実態について解説します。
空家法の施行状況
施行の背景と目的
空家法は2015年(平成27年)5月に全面施行され、適切に管理されていない空き家の
所有者特定、立ち入り調査、修繕・除却の命令が可能となりました。
特に「特定空家等」と認定された建物に対しては、行政による強制撤去も可能になっています。
現在の施行状況
国土交通省の調査によると、2022年(令和4年)3月時点で全国1,741市区町村のうち約80%(1,397市区町村)が「空家等対策計画」を策定しています。
これらのデータから、空き家対策は一定の進展を見せているものの、
いまだ多くの空き家が放置されている現状が浮かび上がります。
低未利用地の特別控除の利用状況
制度の概要
低未利用地の特別控除は、使われなくなった土地や建物を一定条件のもとで譲渡した場合に、譲渡所得から最大100万円を控除する制度です。
これにより、土地や建物の流通を活性化し、空き地や空き家の有効活用を促進することが目的です。
利用実績
2020年(令和2年)7月の制度創設以降、2021年(令和3年)12月までの利用実績は以下の通りです。
また、譲渡前の低未利用地の状態として、
譲渡後の利用用途としては、
となっており、多くの土地が住宅用地として再活用されています。
今後の展望
2023年(令和5年)8月に国土交通省が発表した「令和5年度税制改正要望事項」によれば、
が提案されています。この改正が正式に決定すれば、より多くの低未利用地の活用が期待されます。
空家法と低未利用地の特別控除は、日本の空き家・空き地問題を解決するための重要な施策ですが、まだ多くの課題が残っています。特に特定空家等の撤去や修繕の進捗が遅れているため、さらなる施策強化が求められます。一方で、低未利用地の特別控除は一定の成果を上げており、制度の延長や拡充によってさらなる利活用が進むことが期待されます。
今後も政府や自治体の取り組みに注目しながら、空き家・空き地問題の解決に向けた動きに注目していきたいですね!