
国土交通省がマンション管理のあり方に関する省令を改正し、第三者管理者(管理会社など)が組合の印鑑や通帳を保管できるようになる方向性を打ち出しました。これまでは「管理組合が自ら保管」が原則でしたが、現実的には理事の負担や紛失リスクが課題となっていました。今回の改正はその解決につながるものです。
第三者に印鑑や通帳を預けられるのは無条件ではなく、**5つの条件(保証など)**を満たす必要があります。
管理会社などが万が一資金を流用した場合に備え、弁済保証や保険に加入していること。
通帳残高や資金の動きを管理組合へ定期的に報告する仕組みがあること。
資金管理を一人の担当に任せず、複数人で確認できる体制を整えること。
通帳・印鑑の保管方法、使用の手続き、責任の所在を契約書で明記すること。
管理会社に保管を委ねる場合は、必ず組合員による総会での承認を経ること。
マンションでは高齢化や理事のなり手不足が進み、役員が印鑑や通帳を管理すること自体が負担になっています。また、通帳や印鑑の紛失、管理の甘さによるトラブルもありました。こうした事情から「第三者による安全な管理」が求められていました。
管理会社に任せることで、理事の負担軽減が期待できる。
保証や報告体制が前提なので、透明性や安心感が高まる。
一方で、管理会社選びや契約内容の確認がこれまで以上に重要に。
今回の省令改正で、管理会社が印鑑や通帳を保管できる道が開かれました。ただし、条件を満たして初めて「安心して任せられる仕組み」となります。マンション管理組合にとっては、負担軽減とリスク回避の両面からメリットが大きいといえるでしょう。